#08 SOUTH PUDDLE
『南のたまり』は
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の
世界の終わりの街、の隠された出口にある水が溜まっている、
湖と池の間くらい(だろう)の大きさの場所です。
世界の終わりの街では人は影と引き離され
影は冬になると弱って死にます。
影が死ぬと人々は心を失って平和に過ごします。
小説の最後、主人公とその影は街を脱出するために
南のたまりに向かいますが、主人公は影に街に残ることに決めます。
南のたまりの描写はとてつもなく幻想的で美しい。
日本への旅は日本で生まれ育った私にとっての
自国への内面の旅です。
日本はとても清潔で規則正しい透明感のある国で、
反面その外側の顔で吸収できない不透明な混沌が
存在していると思います。
混沌は統制されることもなく、社会的な立場を得ることもなく、
時に蔑まされながら、苦しみながら、存在している。
村上春樹の小説の構造に頻繁に見られる
パラレルワールドがそれと共通しているというわけでもないかもしれませんが、
日本を考えた時にイメージに上ったのは、
村上春樹の小説の構成にしばしば見られるパラレルワールドでした。
村上春樹の作品に登場する女性たちはとてもチャーミングです。
感受性が強くて反社会的なねじまき鳥クロニカルのメイ、
ノルウェイの森の挑発的なミドリ、
スプートニックの恋人たちのミュウ…
シックなアフターダークのマリ、
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの図書館の女の子,etc...
ウディアレンの映画に登場する女性たちのように、
それぞれの魅力があります。
シックで賢い女性、
自由で奔放な感受性が強い女性、
社会と戦って自分に負けて死ぬ女性も、戦う女性。
みな正直に自分を生きています。
それぞれの女性のキャラクターを考えながらできた服には、
本の中の女性の名前をつけました。